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相続した空き家を売ったときの3,000万円特例は、2024年度に16,755件使われました。特例を使うのに必要な「確認書」を、市区町村が出した件数です。
特例が始まった2016年度の4,451件から、9年で約3.8倍に増えています。
実家を売るかどうか考えていて、この特例が自分にも使えるのか気になっているなら、まず全体の数字と、1軒の空き家で何人が使っているかを見てください。
空き家特例の確認書の発行件数は、9年でどう増えたか
この特例を使って確定申告するには、空き家のある市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」をもらう必要があります。国が実際の適用件数を集計していないため、国土交通省はこの確認書の発行件数を、特例が使われた数の目安にしています。
| 年度 | 確認書の発行件数 | 前の年度から |
|---|---|---|
| 2016年度(平成28年度) | 4,451件 | ― |
| 2017年度(平成29年度) | 7,000件 | +57.3% |
| 2018年度(平成30年度) | 7,630件 | +9.0% |
| 2019年度(令和元年度) | 9,649件 | +26.5% |
| 2020年度(令和2年度) | 9,758件 | +1.1% |
| 2021年度(令和3年度) | 11,944件 | +22.4% |
| 2022年度(令和4年度) | 13,014件 | +9.0% |
| 2023年度(令和5年度) | 13,696件 | +5.2% |
| 2024年度(令和6年度) | 16,755件 | +22.3% |
| 9年の合計 | 93,897件 | ― |
2024年度は、特例の確認書が前の年度から2割以上増えました。
この年の1月から、特例のルールが変わっています。古い家を残したまま売っても、買主が売った年の翌年2月15日までに取り壊すか耐震改修をすれば、売った側が特例を使えるようになりました。特例の改正のあと最初の年度で、伸びが大きくなっています。増えた理由が改正だけかどうかは、この数字からは分かりません。
1軒の空き家で、平均1.5人が特例を使っている
国土交通省の別の資料には、確認書の発行件数と並べて、対象になった空き家の数も載っています。2023年度は、確認書13,711件に対して、空き家は8,820戸でした。
割ると、1軒あたり約1.55件です。
確認書は、特例を使う相続人ごとに出されます。兄弟で相続した空き家を売って、それぞれが特例を使うと、1軒で2件、3件と数えられます。2016年度から2023年度まで、この割合は毎年1.50〜1.57のあいだで、ほとんど変わっていません。
ここで気をつけたいのは、相続人の数です。2024年1月以後の売却では、この空き家を相続した人が3人以上いると、1人あたりの控除は3,000万円ではなく2,000万円までになります。兄弟3人で売るなら、税金の見込みは2,000万円の枠で計算しておく必要があります。
兄弟で売ったお金の分け方は、実家を兄弟で相続したらで書いています。
空き家特例で、国と自治体の税収は年にいくら減っているか
同じ資料では、この特例で減った税収も推計されています。2023年分は、所得税で約199億円、個人住民税で約66億円、合わせて約265億円でした。
国土交通省が自治体への調査をもとに出した推計なので、1人ひとりが実際にいくら税金を減らせたかは、ここからは分かりません。
件数が増えても、特例を使えない人が多い理由
件数は増えていますが、相続した空き家なら誰でも特例を使えるわけではありません。特例の条件の主なものは、次のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に建てられた家であること
- マンションなど、区分所有の登記がされた建物ではないこと
- 亡くなる直前に、親のほかに住んでいた人がいないこと
- 相続してから売るまで、貸したり住んだりしていないこと
- 売った金額が1億円以下であること
- 相続から3年目の年末までに売ること
1つでも外れると特例は使えません。期限については相続した家の売却は3年以内にで、税金の計算は相続した家を売却したときの税金はいくら?で整理しています。親が家をいくらで買ったか分からない場合は、相続した家の取得費がわからないも読んでおくと、特例が使えないときの税金の見込みが立ちます。
確認書は、どこで、どれくらいでもらえるか
確認書を出すのは、売った空き家がある市区町村です。自分が住んでいる市区町村ではありません。
交付までの日数は自治体によって違い、たとえば世田谷区は2週間ほどかかると案内しています。売った翌年の確定申告に間に合わせるには、売買契約が終わったら早めに申請しておくと安心です。必要な書類は、市区町村のホームページに一覧が出ています。
特例が使えるか分かったら、次は売れる値段
特例が使えると分かっても、税金がいくら減るかは、売れる値段が決まらないと計算できません。
査定を頼んでも、売る義務は生じません。電話を受けずに目安だけ知りたいなら、ざっくりAI査定+のように、住所や広さだけで相場を出すサービスもあります。
実家が東京・神奈川・千葉・埼玉にあり、古い家のまま売るか迷っているなら、相続した空き家や築年数の古い家を扱う査定もあります。
それ以外の地域で、仲介では買い手が付きにくそうな家なら、空き家を専門に買い取る会社に値段を聞く手もあります。
年1万6千件の中に入れるかは、条件と期限で決まる
特例を使う人は、9年で約3.8倍、2024年度は16,755件まで増えました。1軒あたり1.5人ほどが使っていて、兄弟で売るケースが少なくないことも数字から読み取れます。
自分の実家がその中に入れるかどうかは、建てた年、亡くなる前に誰が住んでいたか、相続してから使っていないか、そして売る期限で決まります。特例の条件を確かめて、期限から逆算して動き出してください。
※制度の一般的な整理です。特例の適用は税務署・税理士にご確認ください。出典:国土交通省「令和5年改正空家法に基づく取組が広がる~空き家対策に取り組む全国の市区町村の状況について(令和7年3月31日時点調査)~」(確認書の交付実績)、国土交通省「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の制度概要・経緯等、ロジックモデル、検証の方向性、関連データ」(確認書の発行件数と家屋の数、減収額の推計)、国税庁 タックスアンサー No.3306、世田谷区「被相続人居住用家屋等確認書等の交付手続について」。2つの国土交通省資料で同じ年度の件数が数件ずれているため、年度ごとの件数は新しい資料(令和7年3月31日時点調査)の数字を使い、1軒あたりの計算は家屋の数が載っている資料の数字で行いました。


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