誰も住まない実家、「とりあえず空き家」が一番損になる3つの理由

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親が亡くなった後、あるいは施設に入った後の実家。

「いつか考えよう」と空き家のまま置いておくのは、実は最もコストの高い選択です。3つの理由から整理します。

理由1:家は人が住まないと急速に傷む

空き家が傷む主な原因は、換気されないことによる湿気です。

  • カビ・木材の腐食が進む
  • 水を流さないため排水管が乾き、下水臭・害虫の侵入経路になる
  • 庭木や雑草が伸び、近隣トラブルの原因になる

傷んだ分だけ売却時の価格は下がり、リフォームや解体の費用は上がります。「そのうち売ろう」と思っている間に、売れる金額が目減りしていきます。

理由2:持っているだけで費用がかかる

  • 固定資産税・都市計画税(毎年)
  • 火災保険料(空き家は「住宅物件」ではなく「一般物件」として扱われ、保険料が上がったり、通常の住宅用火災保険に加入できない場合があります)
  • 電気・水道の基本料金(管理のために止められないことも)
  • 草刈り・見回りの費用や交通費

そしてもう一つ、税金が跳ね上がる仕組みがあります。

2023年12月の法改正で、対象が広がりました
従来は、倒壊のおそれなど著しく状態の悪い「特定空家等」に指定され勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が大きく上がる仕組みでした。

2023年(令和5年)12月13日施行の改正空家法で、その手前の段階である「管理不全空家等」が新設されました。放置すれば特定空家になるおそれがある状態で市区町村から指導を受け、なお改善しないと勧告の対象になります。
勧告を受けた管理不全空家等も、特定空家等と同様に住宅用地特例が使えなくなります。

つまり、「まだ倒れそうなほどではないから大丈夫」という線引きは、もう通用しません。放置のコストは年々重くなる構造だと考えてください。

理由3:税制上の期限がある

相続した空き家を売るときには、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。ただし、要件と期限が細かく決まっています。

被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除 主な要件
売却の期限:相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
家屋の建築時期:昭和56年5月31日以前に建築されたもの(旧耐震基準)
売却代金:1億円以下
制度の適用期限:2027年(令和9年)12月31日までの譲渡
控除額:相続人が3人以上の場合、2024年1月1日以後の譲渡は1人あたり2,000万円に縮小

注意していただきたいのが、上から2つ目の建築時期の要件です。比較的新しい実家の場合、そもそもこの特例の対象になりません。「3,000万円控除があるから大丈夫」と思い込んで進めると、後から計算が狂います。

そして「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という期限。手続きや遺品整理をしているうちに、意外と早く来ます。「いつか」と先延ばしにするうちに期限を過ぎると、使えたはずの控除が使えなくなります。

税金の詳しい整理は実家を売ったら税金はいくら?にまとめました。

時間が経つほど、家の価値は下がり、税制上の有利さも失われる——これが空き家放置の実像です。

放置した空き家に実際に起きること

抽象的な「傷む」ではなく、具体的に何が起きるかを挙げます。

  • 雨漏り:屋根や雨樋の不具合に誰も気づかないため、発見が遅れて被害が広がります
  • シロアリ:湿気のこもった床下は格好の環境です。構造材をやられると修繕費は数百万円規模になります
  • 庭木の越境:枝が隣家や道路にはみ出し、苦情や事故の原因になります
  • 不法投棄・不法侵入:人の気配がない家はターゲットになります
  • 害獣の住みつき:屋根裏にハクビシンやネズミが入り込むことがあります。糞尿被害が進むと建物の価値がさらに下がり、駆除と清掃の費用もかかります(害獣プロガードなどの駆除サービスがあります)
  • 台風や地震での倒壊・飛散:建物や塀が壊れて他人に損害を与えた場合、土地工作物責任として所有者が責任を問われることがあります

最後の点は特に重要です。空き家を持っているだけで、他人に損害を与えるリスクを抱え続けているということです。しかも遠方に住んでいると、異常が起きても気づけません。

維持費を実際に計算してみる

地方の戸建て(土地100坪・築45年)を例に、年間コストを概算してみます。金額は地域や物件によって大きく変わるため、あくまで考え方の目安としてご覧ください。

  • 固定資産税・都市計画税:年5万〜15万円
  • 火災保険(空き家料金):年3万〜8万円
  • 電気・水道の基本料金:年1万〜2万円
  • 草刈り・見回り(年2回の帰省交通費含む):年3万〜10万円

合計すると年間12万〜35万円程度。10年放置すれば100万〜350万円です。

しかもこれは、住宅用地特例が効いている前提の金額です。管理不全空家等として勧告を受ければ、固定資産税だけで負担が跳ね上がります。その間に建物価値は下がり続けます。

「まだ決めなくていい」の代償は、決して小さくありません。

選択肢は「売る」だけではない

  • 売る:管理から解放され現金化できる。誰も住まないなら第一候補
  • 貸す:収入になるがリフォーム費用と管理の手間がかかる
  • 管理サービスを使って持つ:将来使う予定があるなら

どれを選ぶにしても、判断材料は「売ったらいくらか」です。

維持費が年20万円かかる家が、800万円で売れるのか、200万円なのか。この数字がないと、持ち続ける損得すら計算できません。

売る決断をする前でも、価格を知ることはできます。査定は無料で、売ると決めていなくても受けられます。

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複数社に一度に依頼する一括査定の注意点は一括査定のデメリットも正直に、売却の段取り全体は相続した家を売る流れを7ステップで整理にまとめています。

売る前に、名義の確認を

もう一つ、先に片づけておくことがあります。名義が親のままになっていないかです。

2024年4月から相続登記は義務化され、施行日より前に発生した相続も2027年3月31日までに登記が必要です。名義が変わっていないと売却手続きに進めません。詳しくは相続登記をしないまま家は売れる?をご覧ください。

兄弟で共有名義になっている場合は、さらに全員の同意が要ります。こちらは実家を兄弟で相続したらに整理しました。

「思い出があるから売れない」という気持ちについて

これは非常によくある感情で、間違ってもいません。ただ、次の点は考えてみる価値があります。

  • 傷んで荒れた家を見ることのほうが、記憶を損なうことがある
  • 写真や間取り図、思い出の品を残すという方法もある
  • 次の世代に管理の負担を引き継ぐことになる

決断を急ぐ必要はありません。ただ、「価格を知る」ことは決断ではありません。数字を持った上で悩むほうが、納得のいく結論にたどり着けます。

迷っているなら、相談だけでも

空き家の話は、税金の期限・登記・兄弟との調整が同時に絡みます。どれか一つでも詰まると、全体が止まります。

とくに3,000万円特別控除の3年という期限と、相続登記の2027年3月末は、気づいたときには残りが少ないことが多いものです。

初回相談を無料で受けられるところもあります。何から手をつけるかだけでも整理しておくと、そのあとが早くなります。

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※税制・空家法の適用は個別事情によって異なり、制度は改正されることがあります。具体的な判断は税理士・自治体の担当窓口・司法書士等にご確認ください。


早川誠の感想:本当にあっという間に家は劣化します。人が住んでいるかいないかで。みるみる資産価値が下がる、そうなる前に対策をしてください。

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