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親がいくらで家を買ったか分からないと、売った金額の5%しか取得費として差し引けず、2,000万円で売れた家の税金は約370万円になります。
ただ、空き家の3,000万円特例が使えるなら、買った値段が分からなくても、税金は0円で済むことが多いです。
実家を片付けながら取得費が分かる契約書を探しているなら、手を止めて、先に特例が使えるかどうかを見てください。取得費を探す必要があるのは、特例が使えない人です。
取得費が分からないと、税金はいくらになるのか
相続した家を売ったときの税金は、売った金額から「取得費」と「売るためにかかった費用」を引いた、もうけの部分にかかります。
取得費は家を買ったときの値段で、相続した家なら、親が買った値段をそのまま引き継ぎます。
その値段が分からないときは、国税庁が決めている扱いで、売った金額の5%を取得費にします(概算取得費)。
2,000万円で売れた家で、売るための費用を仲介手数料などで80万円として比べます。
| 買った値段が分からない | 土地を1,800万円で買ったと分かった | |
|---|---|---|
| 取得費 | 100万円(売値の5%) | 約1,830万円(土地1,800万円+建物の残り) |
| もうけ | 1,820万円 | 約90万円 |
| 税金(20.315%) | 約370万円 | 約18万円 |
取得費が分かるかどうかで、差は350万円ほどです。
建物は古くなるほど値打ちが引かれ、築40年近い木造なら、買ったときの値段の5%ほどしか残りません。
取得費で効くのは、土地の値段です。
税率の20.315%は、持っていた期間が5年を超える場合のものです。相続した家は、親が買った日から数えるので、たいていこちらになります。
3,000万円特例が使えるなら、取得費は探さなくていいのか
親が一人で住んでいた家を相続して売るなら、もうけから最大3,000万円を差し引ける特例があります。
さきほどの例なら、5%で計算したもうけ1,820万円は、3,000万円の枠に収まります。
税金は、0円です。
相続人が3人以上いると、1人あたりの枠は2,000万円になりますが、持分で分けるぶん、1人のもうけも小さくなります。
取得費を5%で計算しても枠に収まるなら、契約書を探しても税金は変わりません。
条件は、細かく決まっています。
- 昭和56年5月31日以前に建てられた家であること
- マンションなど、区分所有の登記がされた建物ではないこと
- 亡くなる直前に、親のほかに住んでいた人がいないこと
- 相続してから売るまで、貸したり住んだりしていないこと
- 売った金額が1億円以下であること
- 相続から3年目の年末までに売ること
このほかに耐震改修か取り壊しの条件もあり、どれか1つでも外れると、特例は使えません。
売るまでの期限は、ほかの期限と一緒に空き家の売却で損をする人は、値段ではなく期限で損をしているに並べています。特例の全体は実家を売ったら税金はいくら?3,000万円特別控除をわかりやすく整理にまとめました。
取得費を探したほうがいいのは、どんな人か
| 状況 | 取得費を探す意味 |
|---|---|
| 特例が使えて、5%でも枠に収まる | ほぼない |
| 特例が使えるが、もうけが枠を超える | ある。超えた分に税金がかかる |
| 親と同居していた、相続後に貸した | 大きい。特例が使えない |
| マンション、昭和56年6月以降に建てた家 | 大きい。特例の対象外 |
| 相続から3年目の年末を過ぎて売る | 大きい。特例の期限切れ |
貸すか売るか、相続した家の扱いで迷っているなら、貸した時点でこの特例が使えなくなる点も含めて実家は売るか、貸すか、持ち続けるかで比べています。
相続税を払った人には、相続税の申告期限から3年以内に売れば、払った相続税の一部を取得費に足せる特例もあります。3,000万円特例とは一緒に使えないので、どちらか有利なほうを選びます。
取得費の書類は、実家のどこを探せばいいのか
取得費の手がかりになる書類は、片付けの途中で紙ごみとして捨てられやすいものばかりです。
業者に相続した家の片付けを頼む前に、紙の束だけは自分で目を通してください。いったん捨てると、取り戻せません。
- 家を買ったときの売買契約書、代金の領収書
- 注文住宅なら、工務店との建築請負契約書
- 住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)、返済予定表
- 購入したころの通帳(大きな出金の記録)
- 分譲地やマンションの販売パンフレット、価格表
- 当時の手帳や家計簿
権利証(登記済証)に買った値段は書かれていませんが、同じ封筒やファイルに、契約書がしまわれていることがあります。
書類がなくても、登記簿は取れます。登記簿の乙区という欄に、住宅ローンを借りたときの抵当権の額が載っていれば、少なくともその額以上で買ったことの手がかりになります。登記簿は、法務局の窓口やオンラインの請求で、誰でも取れます。
片付けの順番は相続した家の片付けは査定前に必要?で、業者に頼むときの費用は遺品整理と特殊清掃の費用相場で書いています。
それでも取得費が見つからないときは、5%で申告するしかないのか
取得費を推し量る方法はあります。
土地なら、買った年と売った年の地価の動きを示す指数から逆算する方法。建物なら、国税庁が公表している、建てた年ごとの標準的な建築価額の表を使う方法です。
ただ、推し量った取得費が税務署に認められなければ、差額の税金に加えて、ペナルティーの税金がかかることがあります。
もう1つ、5%で申告したあとで書類が見つかっても、自分で5%を選んで申告したと扱われるので、申告をやり直すのは難しいとされています。
推し量る方法を使うかどうかは確定申告の前に決めておく必要があるので、税務署の無料相談や、譲渡所得に慣れた税理士に、集めた資料を見せて判断してもらうのが確実です。
先に知っておきたいのは、相続した家の売れる値段
ここまでの計算は、どれも「いくらで売れるか」が決まらないと始まりません。
売れる値段が1,500万円なら、5%で計算しても1,500万円近いもうけで特例の枠に余裕で収まり、5,000万円なら枠を超えて、取得費を探す意味が出てきます。
査定を頼んでも、売る義務は生じません。電話を受けずに目安だけ知りたいなら、ざっくりAI査定+のように、住所や広さだけで相場を出すサービスもあります。
相続した古い家で、仲介では買い手が付きにくいと言われたら、空き家を専門に買い取る会社に値段を聞く手もあります。
売れる値段と特例の条件がそろえば、探すかどうかは決まる
売れる値段の目安が出て、特例の条件に当てはまるかが分かれば、5%で計算した税金がいくらになるかは、その場で出せます。
0円なら、取得費は探さなくて大丈夫です。
相続した家の片付けと売却の段取りに進めます。
税金が残るなら、取得費を探す価値があります。
見つかった書類1枚で、税金が数百万円変わることもあります。
※制度の一般的な整理です。特例の適用や取得費の扱いは、税務署・税理士にご確認ください。計算例は説明のための仮の数字です。出典:国税庁 タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」、No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」、No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」、No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」


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