実家じまい|何から始めるか、かかる費用と順番

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お盆や年末に帰るたびに、実家の物の多さを見て、気が重くなる人がいます。

親が施設に入った。あるいは亡くなって、実家だけが残った。いつかは片付けなければと思いながら、どこから手をつければいいのか分からないまま、また1年がたちます。

実家じまいは、親の家の片付けから始まり、実家の行き先を決めて手放すまでの、ひと続きの作業です。

実家じまいを何から始めるかは、親が元気かどうかと、相続のどの期限が近いかで変わります。順番を間違えると、相続放棄ができなくなったり、税金の特例を逃したりすることがあります。

この記事では、実家じまいの全体の流れと、期限から逆算した始め方、かかる費用の項目を並べます。

実家じまいでやることは5つ

実家じまいは、大きく分けると次の5つの作業があります。

順 やること 中身
1 家族で方針を決める 誰が中心になるか、実家を残すか手放すか、費用を誰が出すか
2 書類と貴重品を探す 権利証(登記識別情報)、通帳、保険証券、年金の書類、貴金属
3 家財を片付ける 残す物・形見分けする物・売る物・捨てる物に分ける
4 仏壇・神棚などを整える 供養のしかたを家族やお寺と決め、引き取り先を決める
5 家の行き先を決める 売る・貸す・持ち続ける・解体して土地で売る
実家じまいの5つの作業の流れを示す図
左から、家族で方針を決める、書類と貴重品を探す、家財を片付ける、仏壇などを整える、実家の行き先を決める。

この順に進めるのが基本ですが、5つ目の「実家の行き先」は、片付けが終わる前から考え始めてかまいません。

実家をどうするかで、片付けの量も、かけるお金も変わるからです。

親が元気なうちと、亡くなったあとで、実家じまいの始め方が違う

始め方は、実家の持ち主である親の状態で分かれます。

親の状態 家を売る人 先に確かめること
元気で、施設や子どもの家に移る 親本人 親の気持ち。売ったお金を施設の費用に充てるか
認知症が進んできた 親本人(判断できなくなると売れない) 家族信託や成年後見を使うか
亡くなった 相続した人 相続放棄をするか。誰が実家を相続するか

元気なうちは、実家は親のものです。子どもが片付けや売却を進めるときも、親の気持ちを聞きながら進めます。

認知症で判断できなくなると、親本人も実家を売る契約ができなくなります。その前に打てる手は親が認知症になると実家は売れないで書きました。

親が亡くなったあとは、実家の片付けより先に期限を確かめる

亡くなったあとの実家じまいには、期限のある手続きがからみます。

期限 何の期限か 実家じまいとの関係
亡くなったことを知ってから3か月 相続放棄 放棄するなら、家財を処分してはいけない
亡くなったことを知った翌日から10か月 相続税の申告 家と土地の評価が要る
家を相続したと知ってから3年 相続登記(名義変更)の義務 売るには、先に名義を変える
相続から3年目の年末 空き家の3,000万円控除 この日までに売れば、売ったときの税金が軽くなることがある
毎年1月1日 固定資産税がかかる日 この日の持ち主に、その年の税金がかかる

いちばん気をつけたいのは、相続放棄の3か月です。

民法では、相続財産を処分すると、相続を受け入れたとみなされます。親に借金があるかもしれず、放棄を考えているなら、実家の家財を売ったり捨てたりする片付けは始めないでください。

放棄を考えている間にしていいこと・いけないことは、相続放棄するなら家を売ってはいけないにまとめました。

放棄しないと決まったら、次は名義です。売るには相続登記が先に要ります。そのルールは相続登記をしないまま家は売れる?に書きました。

実家の片付けは、全部終わらせてから売らなくていい

いちばん止まりやすいのは、実家じまいの片付け。

何十年分の物があり、週末に実家へ帰るたびに少しずつ進めても終わらない。そのうちに固定資産税の通知がまた届きます。

ただ、実家を売るつもりなら、片付けを全部終えてから不動産会社に声をかける必要はありません。

  • 査定は、物が残ったままでも頼めます
  • 買い取りなら、家財ごと引き取ってくれる会社もあります
  • 仲介で売る場合も、どこまで片付けるかを不動産会社と相談して決められます

先に実家の値段が分かっていれば、片付けにいくらかけるかも決めやすくなります。家が安くしか売れないなら、片付けに何十万円もかけるより、そのまま買い取ってもらうほうが手元に残ることもあります。

どこまで片付けてから売るかの判断は、相続した家の片付けは査定前に必要?で整理しています。

実家を自分で片付けるか、業者に頼むか

自分たちで片付けると、費用は抑えられますが、時間がかかります。遠方に住んでいると、交通費と休みの日がどんどん減っていきます。

業者に頼むと、数日で終わる代わりに、費用がかかります。金額は、間取りよりも物の量で大きく変わります。

頼む前に、次のことを家族で決めておくと、見積もりの比べ方がはっきりします。

  • 残す物(写真・手紙・形見)を、先に家族で取り分けておく
  • 仏壇・神棚・人形など、供養してから手放したい物を決める
  • 買い取ってほしい物(家電・家具・着物など)があるか
  • いつまでに終えたいか(売る時期・固定資産税の1月1日)

業者によって見積もりの差が大きいので、何社かを比べるのが基本です。

帰省のたびに片付けが進まず、業者に頼むか迷っている人へ

家族で残す物を決めたら、あとは見積もりを比べて決めるだけです。何社かにまとめて見積もりを頼めるサービスもあります。

遺品整理のコンシェルジュ

公開されている費用の目安と、業者の選び方は遺品整理と特殊清掃の費用相場にまとめました。

実家じまいにかかる費用の項目

費用は、実家をどうするかで、かかる項目が変わります。

費用 かかる場面 目安・決まり
片付け・遺品整理 業者に頼む場合 物の量で大きく変わる。複数社の見積もりで比べる
仏壇などの供養・引き取り 仏壇を手放す場合 お寺や宗派、業者によって違う
相続登記の税金(登録免許税) 相続した家の名義を変える 固定資産税の評価額の0.4%。司法書士に頼むなら報酬も
解体 更地にして売る場合 木造で1坪あたり3万〜5万円ほどが一般的な目安とされる
仲介手数料 不動産会社に売ってもらう場合 上限は売った値段の3%+6万円+消費税(400万円を超える場合)。800万円以下の空き家は上限33万円(税込)の特例がある
持ち続けるお金 売らずに残す場合 固定資産税・火災保険・水道や電気の基本料金・草刈り・通う交通費

売る場合に手元に残る額は、相続した家の売却にかかる費用一覧で計算例を出しています。

やってはいけないこと

  • 相続放棄を決める前に、家財を処分する:相続を受け入れたとみなされ、放棄できなくなるおそれがあります
  • 兄弟に黙って片付けや売却を進める:形見や家財は相続人全員のものです。勝手に捨てると、あとで揉める原因になります
  • 先に実家を壊してしまう:建物を壊すと、土地の固定資産税が上がることがあります。売るときの税金の特例の条件にも関わるので、壊すのは売り方を決めてからです
  • 「とりあえず空き家」で何年も置く:傷みが進むと、売るときの値段が下がり、管理の手間とお金がかかり続けます

壊すか、そのまま売るかの分かれ目は古い家は解体してから売る?そのまま売る?に、置いておくと何が起きるかは誰も住まない実家、「とりあえず空き家」が一番損になる3つの理由にあります。

実家の行き先は、売れる値段を知ってから決める

最後に決めるのが、実家じまいの仕上げとなる家の行き先。

売る・貸す・持ち続ける、のどれがいいかは、実家がいくらで売れるか、貸したらいくらになるか、持ち続けると毎年いくらかかるか、の3つを並べると決めやすくなります。比べ方は実家は売るか、貸すか、持ち続けるかで数字を出しています。

まずは、今のままでいくらで売れるかを知っておくと、片付けや解体にかけるお金の上限も見えてきます。

査定を頼むときは、次のことを伝えておくと話が早く進みます。

  • 相続した家(または親が住まなくなった家)であること
  • 家財がまだ残っているか、どこまで片付ける予定か
  • 名義が亡くなった親のままか、相続登記が済んでいるか
  • いつまでに売りたいか(3,000万円控除の期限など)

査定を頼んでも、売らなければいけないわけではありません。電話を受けずに目安だけ知りたいなら、ざっくりAI査定+のように、住所や広さを入れるだけで相場が分かるサービスもあります。

実家が東京・神奈川・千葉・埼玉にあるなら、相続した空き家や古い家を専門に扱う査定もあります。

遠方で通えない、物が多くて片付けきれない、という実家なら、家財ごと買い取る会社に値段を聞く手もあります。

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よくある質問

実家じまいは、何から始めればいいですか?

親が元気なら、まず親の気持ちを聞き、家族で方針を決めることからです。亡くなっているなら、相続放棄をするかどうかを先に決めてください。放棄を考えているうちは、家財の片付けは始めないほうが安全です。

実家じまいには、どれくらいの期間がかかりますか?

家族の話し合い、片付け、売却まで含めると、半年から数年かかることも珍しくありません。片付けと売却を並行して進めると、全体の期間を短くできます。

片付けが終わっていなくても、査定はできますか?

できます。物が残ったままでも査定は頼めますし、家財ごと買い取る会社もあります。片付けにいくらかけるかは、実家の値段が分かってから決めても遅くありません。

兄弟が遠方に住んでいて、なかなか話が進みません。

まず、誰が中心になって進めるかを決めます。費用の分担と、実家を売ったお金の分け方は、最初に話しておくと揉めにくくなります。兄弟で相続したときの注意は実家を兄弟で相続したらに書きました。

仏壇はどうすればいいですか?

家族やお寺と相談して、供養のしかたを決めてから手放すのが一般的です。作法は宗派やお寺によって違うので、まず菩提寺があれば相談してください。仏壇が残っていても、実家の査定は頼めます。

実家じまいで使える補助金はありますか?

空き家の解体に補助を出している自治体があります。条件は自治体ごとに違います。東京の例は東京23区の空き家解体補助金一覧と東京都の市町村の空き家解体補助金一覧にまとめました。

まとめ:期限を確かめ、残す物を選んでから、実家の行き先を決める

実家じまいは、家族の方針、書類探し、片付け、仏壇、家の行き先、の5つの作業です。

親を亡くしたあとなら、片付けより先に、相続放棄の3か月や、3,000万円控除の期限を確かめてください。

片付けは全部終わらせてから売る必要はありません。実家の値段が分かれば、片付けにいくらかけるかも決められます。

そして、写真や手紙など、家族にとって大事な物は、最初に取り分けておいてください。実家を手放しても、思い出は持ち帰れます。

※一般的な整理です。相続放棄や登記は司法書士・弁護士に、税金は税理士・税務署にご確認ください。出典(2026年10月7日確認):民法(第915条 相続の承認又は放棄をすべき期間、第921条 法定単純承認)、法務省「相続登記の申請義務化」、国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、No.4205「相続税の申告と納税」、登録免許税法、国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」。

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